かつて柴本師匠の元で修行し、独立して今やフレスコを支える勝山くんと大内くん。
たまたま同じ日に電話する機会がありました。
勝山くんから。
「いんげん、どうでしたか?」
「美味かったよ、かなり。やるねえ」
「よかった〜!」
「食感も風味もいいし。でも柴本さんに比べると甘さが少ないかな」
「柴本さんのは美味しかったもんな〜。カブ作ってもあの味が出せないです」
「カブね、あれも美味かった。早くあの味のカブ作ってよ。あとオクラもやってほしいな」
「あ〜、あのオクラも美味しかったですね。覚えています」
「早く追いついてよ。期待してるから」
「がんばります」

大内くんから。
「僕の人参、味どうですか?」
「いいよ。大内くんらしい味が出てる。風味もいいし」
「本当ですか?」
「大丈夫。ほら、うちは不味かったらちゃんと言うから。そうそう、さっき勝山くんから電話あって」
「今、何か出してるんですか?」
「いんげん、結構美味しかったよ。ただ柴本さんに比べるとまだ甘さが弱いって言ったんだ」
「柴本さんは、さらにひと手間もふた手間もかけてましたからね」
「だろうね。あそこまで味にこだわってる人はいなかったよ」
「きゅうりも茄子もカブも最高だったし。今でも覚えてますよ」
「うん、覚えてる。何食べても美味かったよな」

りんごの季節になると、お客様との会話の中で決まって出てくる「西館さんのりんごは美味しかったですね」の言葉。
「はい、西館さんのは抜群に美味しかったですよ」
僕らスタッフもしっかり覚えています。
あの頃当たり前だと思っていた最高に美味しかったりんご。
懐かしくもあり寂しくもあり…。
味ってすごいなって思います。
もう何年も経っているのに、本物の美味しさって覚えているもの。
舌と、そして心で。
だからこそ、本物を届けたい。
フレスコでは、時に厳しく、そして正しく、美味しいものは美味しいと、そうでないものはそれなりに評価し、生産者さんにもお客様にもお伝えします。
僕らの大切な役目です。
それが皆さんの味の記憶になることを願って。