1日目のお昼、休憩で立ち寄った道の駅。
ふと横を見ると食堂?
地元の車でいっぱい。
ここでお昼食べていくか。
やっぱり大正解!
地元の人に人気の店って外れがないですね。
ここ数年で一番のカツカレー。
カツもカレーも美味しいし、量もちょうどいいし、僕の理想にかなり近いです。
強いて言えば、カレーがカツに2センチ位かかっているといいかな。
お手軽な値段もポイント。
福島のお蕎麦屋さんが言ってたなあ。
「高くて美味しいのは当たり前です。気軽に食べられて美味しくないと」って。
本当にそう思います。
2日目のお昼。
帰り道に立ち寄ったすっごい古そうなうどん屋さん。
やけに開放感のある店内、お客さんはおじさんが一人だけ、おばちゃんが一人で調理している感じ。
大丈夫か?ちょっと不安…。
まあ、早めに店に戻らないといけないし、軽くね。
でも大正解!
ものすごく優しい味。
手打ちの麺、それから天ぷらめちゃ美味っ!
思わずおばちゃんに聞いてみました。
「この葉っぱ、何ですか?」
「今日は春菊と三つ葉と、そっちの紫のは金時草と言ってね。他も全部うちで採れた野菜です」と説明してくれました。
その日に採れた野菜で内容が違うんですね。
「これは?」
「竹の子の柔らかい皮を刻んで炒めて味付けて。お客さんに教えてもらったんですよ」
「竹の子の皮ですか。言われなければ分からない。美味しいですね〜」
食後に出してくれたびわ。
「傷物で悪いけどどうぞ。自然になってるびわだから大きくならないんですよ。種ばかり大きくてね」
これがすごく美味しかったです。
甘いだけじゃない、ほのかに酸味を感じる味わい。
「どれも美味しいですね。この店、もう何年やってるんですか?」
「30…えーっ、30年までは数えてたんだけどね。あの日航機の事故の翌年からだから…」
実はここ上野村。
数ヶ月前にもツーリングに来た場所です。
「そんな話が出た時しかお見せしないんですけど」と出してくれた当時の資料をまとめた本。
村の各家庭には配られたそうです。
ものすごく濃い内容になっていますが、最初の方のページには事故で亡くなった方々数百人の遺影が名前と年齢と一緒に載っています。
多くが一人の写真ですが、中には家族で撮った写真や、子供や赤ちゃん、機長を始め乗務員の方々、有名人では坂本九(本名で書かれていて、大島九)さんも。
一人ひとりの写真を見ているだけで…、それぞれの人生があったんだろうなあって…。
「それにしても、この本作った人、よく写真集めましたね」
「本当にそうですね。後ろの方に名前だけの方もいるんですけど」
「今なら、プライバシーだとかで無理だろうなあ」
すごく重みのある本でした。
「うちの子供はまだ小学生で、夕食の支度をしていた時、ゴオーって低い音がして…。あの時は、本当にもう大変だったんですよ…」
当日の様子、翌日の様子、その後の様子、気づけば1時間ほど本を読みながら話を聞いていました。
全部は読めなかったけど、寄せられた手記を読むと、当時の村人の心境が痛いほど分かりました。
昨年、三陸の震災遺構を訪れた時も感じた「現地に来てみないと分からないこと」を、時を経ても改めて感じました。
「30年数年なんてあっという間ですよ。私も歳を取ります」
「そうですね。僕も店やっていて、あっという間に13年です。まだまだですけど」
「まあ、お店を。どちらで?」
「埼玉の川口で」
と話は更に続き。
「貴重なものを見せていただいて、ありがとうございました」
「いいえ。お名前を聞かせてもらっても?」
「えっ、僕ですか?星野と言います」
「星野さん、またいらしてくださいね」
70歳過ぎと言うお母さん、また会いに来ますね。
ちょっと長居しちゃったので、急ぐか。
と言いつつ、ある道の駅に併設してあった小さな縄文遺跡の資料館に立ち寄る。
縄文人の住居跡。
うーん…、そうねえ、すごい貴重なんだろうけど、ここは想像力だろうなあ…。
でも、当時の生活の様子を描いた絵を見ていると、考えさせられますね。
だって、現代人に欠如している大切なものがたくさん描かれているんですから。
家族団らん。
ご近所付き合い。
そして四季折々、旬、真に豊かな食生活。
そして知恵や工夫。
縄文時代なので、その名の由来通り土器は縄文土器。
もちろん、衣食住の全てが自給自足。
家を建て、衣服を作り、武器や土器を作り、獣や魚を捕らえ、火を起こし、そして食べる。
電気や石油製品が不可欠ななんちゃって自給自足じゃなくて、真の自給自足ってこういうことなんだろうなあと思うし、これが一つのコミュニティ、社会で生きるということ。
その中で命を守り、子孫を残していく。
憧れや理想ではなく、生きていくための術。
もちろん、我々の超ご先祖様である縄文人さんも当時は当時で問題とか悩み事とか多々お有りだったとは想像するし、もっと便利で快適な暮らしを求めていらっしゃったと思います。
寿命だって極端に短かっただろうし、だけど、もしかしたら便利なのに忙しく寂しい現代人より、ある意味幸せ度は高かったかもしれませんね。
人類における文明の進化って然るべきだけど、高度になりすぎた今の文明ってどうなんだろうって考えてしまいます。
そんなわけで、今回も充実したツーリングでした。
まだまだ梅雨本番、そして猛暑。
バイク乗りには辛い時期ですが、タイミングを見つつ、また出かけたいと思います。